コラムTOP > バックナンバー・インデックス > 〜夏特集〜 目の性行為感染症


最近、クラミジア、淋病などの性感染症の増加が若者を中心にみられます。今回は眼科領域の性行為によって感染する病気についてお話します。

[1] クラミジア結膜炎
クラミジア感染症で最も多いのは泌尿生殖器感染ですが、これが指などを介して目に感染し、結膜炎を生じます。症状は初期では細菌性の結膜炎とほぼ同じで、結膜の充血、眼脂、瞼の腫れなどです。しかし通常の結膜炎で用いる点眼剤ではなかなか治りません。クラミジアに効果のある眼軟膏の処方が必要です。また泌尿生殖器の感染が合併していることも多いですから、抗生物質の内服も必要です。

[2] ケジラミ
ケジラミは成人の場合、陰毛や胸毛に寄生しており性行為で感染することもあります。これがまつ毛に寄生し、痒みを生じます。

[3] 梅毒
梅毒による目の病気は、泌尿生殖器の局所の感染に続く全身感染期に起こります。ぶどう膜炎や網膜炎など他の病気と同じような症状を生じるため、確定診断には血液検査が必要です。梅毒の病原菌に効果のある抗生物質による治療を十分にしないと、視力が低下します。

[4] AIDS(後天性免疫不全症候群)
AIDSでの眼感染症は免疫力の低下に伴うウィルスや真菌の感染です。代表的なものにサイトメガロウィルス網膜炎やカンジダ眼内炎があります。治療の難しいことが多く、失明につながることもあります。

性感染症は患者さんの治療はもちろん、パートナーの治療も必要になってきます。最近ではクラミジア結膜炎が特に増えています。治りにくい結膜炎の場合には注意が必要です。