水晶体は透明な組織であり、その透明な組織で光を透過し、眼底の網膜に光を集め、物体の像を結びます。目の老化が進行し、水晶体は透明性を保てなくなり、濁ってくると光が眼底に入る前に散乱されて、網膜に像を結ぶ働きが弱くなり、かすんで見えるようになります。この水晶体が濁ってくる病気を「白内障」と呼び、老化現象が原因となった白内障を「加齢性白内障」と言います。
そのほか、糖尿病やアトピー性皮膚炎に伴う白内障や、外傷性の白内障があります。
あなたが白内障の疑いがあるかどうか、進行状況からチェックしてみましょう。以下の症状が該当する時は、白内障の可能性があります。医師に相談してみましょう。

平常の視覚

白内障の視覚

【初期の症状】
・ 何となく目がかすんだり、疲れる
・ 本などを見ていて集中力がなくなる
・ 薄暗い場所では物や本が見にくい
・ 最近近視が進行した

【中等度の症状】
・ 目がかすんでうっとうしい気分だ
・ 曇りガラスを通して見ているよう
・ 運転中、対向車のライトがかなりまぶしく感じる
・ メガネの度を変えても視力が出ないと言われた

【進行した症状】
・ 良い目を隠すと、かなり見えない
・ 視力が低下し、細かい作業ができなくなった
・ 運転免許証の視力検査で、更新ができないと言われた
・ 人の顔がはっきり見えない
白内障の術前検査

まず視力検査、眼底検査などの眼科一般検査で白内障以外に病気の無いことを確認します。
その後

  1. 眼内レンズ度数の決定:眼内レンズはその眼にあった度数のものを選択しますので、これが最も重要な検査です。当院では精度の高い“IOLマスター”を導入してます。
  2. 角膜内皮検査:角膜の透明性を保つ細胞の検査です。状態が悪いと術後に角膜が濁ってしまうことがあります。
  3. 網膜断層撮影検査:通常の眼底検査では見逃してしまう病気もこの検査で検索することができます。当院では術後の視力予後を判定するため、可能な限り行っています。
  4. 必要があれば、内科主治医に全身状態の確認をします。

白内障手術内容

超音波ハンドピース

WHITESTAR Signature

白内障の手術を一言で説明するなら“水晶体を包んでいる膜を残して、水晶体内部の濁った部分を取り出す”手術といえます。手術時間は10分程度。手術前の準備と、手術後のチェックなどの時間を含めても30分以内で終了します。

  1. まず点眼麻酔をします。
  2. メスで眼球を約2.5mm程度切ります。当院では強角膜切開法を採用しています。感染に最も強い切開法といわれていま す。その小さな切開から、『超音波乳化吸引法』という、超音波を利用して水晶体の濁った箇所を砕いてから吸い出す作業を行います。当院で使用している装置 は 米国Abbott社WHITESTAR Signatureで国内外で高い評価を受けています。
  3. 水晶体を取り除いた後に水晶体があったところに眼内レンズを挿入して、視力を回復させます。 直径6mmの眼内レンズは折り曲げられ、2.5mmの切開から挿入できます。

当院で採用している眼内レンズは、プリセットタイプといって、眼内レンズがカードリッジ内にあらかじめセットされ、外気に触れることなく眼内に挿入できます。感染に対して最も安全性が高いと評価されています。


CANON社製プリセット眼内レンズ
手術を受ける時期はいつ?
現在は一定の基準といったものではなく、職業、生活スタイル、症状など人によって違う ためさまざまです。例えば運転免許証更新に必要な視力は0.7ですので、ひとつの目安と言えます。

白内障手術は痛くないのですか?
「痛いのではないだろうか?」と不安になっている方もいるかもしれませんが、目の手術は、局所麻酔が良く効きますので、痛みはほとんどありません。

私は80歳になりますが、白内障の日帰り手術を受けることができますか?
当院では、日帰りの通院手術を実施しています。
<条件1>通院が可能である、または紹介施設に通院可能である
<条件2>本人が希望する
手術をスムーズに進め、成功させるためには患者さん本人の意見を尊重することが大切です。
<条件3>全身状態
高齢になると何らかの病気をお持ちの方が多くなります。特に高血圧、不整脈、喘息な どの病気は、白内障の手術を行う際や、手術後の管理において障害となる場合があるので注意が必要です。内科主治医と連絡をとり、安全な手術を心がけていま す。アスピリン,ワーファリンを内服中でも中止することなく、手術可能です。また軽度の認知症や不安の大きい患者さんには家族の方に手術室の入っていただ いて手術をしております。
<条件4>目に重い合併症がない
白内障以外に目の病気がある場合は、手術に長い時間を要したり、手術がとても困難になったりします。また、手術後の合併症・治療のために入院が必要なこともありますので、手術前にご相談ください。
<条件5>自己管理ができる
日帰り手術は、手術後の管理が患者さん自身や家族の責任で行われることが条件です。日帰り手術では“自己管理”が必要です。

白内障手術は安全性が高いと聞きましたが、リスクは無いのですか?
白内障の手術は他の目の手術に比べて、安全性が格段に高くなっていますが、それでも成 功率100%には達していません。
最も重い合併症は、細菌による感染症です。術後に激痛や急激な視力低下が生じます。早期に再手術をしないと失明の危険もあります。当院では術前の目の消毒、手術機器の滅菌を丁寧に行っており、今まで生じたことはありません。
もうひとつの重い合併症として、眼内レンズが入らないことがあげられます。その際には眼内レンズを直接眼球に縫い付ける方法、眼内レンズ縫着術が必要になります。